「WELL AIR導入で成果を出すための“3ステップ”――効果測定のコツを完全ガイド」
前回の記事では、加工メーカーで実際に起きていた“毎朝の水抜き負荷”と、WELL AIR導入による改善効果をご紹介しました。
今回はその続編として、「どう導入すれば効果が出るのか?」
そして 「どんな項目を数値化すれば、社内説明・稟議がスムーズになるのか?」
を、初心者でも迷わず取り組めるように整理します。
■ STEP1:現状の“負荷ポイント”を見える化する
最初のステップは、難しい測定ではありません。
現場担当者が「実際に困っていること」を、まずは “時間”と“頻度” の2軸で整理することです。
(1)毎朝のメンテ作業の所要時間
-
配管末端トラップの確認
-
水抜き作業
-
立ち上がり時の動作チェック
例:10分/日 × 月20日 → 月間200分(3時間20分)
(2)月間のトラブル発生回数
-
エアシリンダー動作不良
-
ソレノイドバルブの固着
-
エアブロー不足によるチョコ停
数字が小さくても、1回あたりのライン停止コストは大きいため、必ず記録します。
(3)フィルター交換頻度
-
月/年あたりの交換回数
-
交換要員の作業時間・コスト
-
在庫スペース・管理コスト
これらは「WELL AIRを導入する前後」で最も変化が出やすい指標です。
■ STEP2:WELL AIRの設置位置を選ぶ
次に重要なのは、「どこに設置するか」 です。
結論:末端に近い“最終工程前”が最も効果的
理由はシンプルです。
配管が長いほど、途中でドレンが再発しやすいからです。
■ 代表的なおすすめ設置ポイント
◎ CNC旋盤・マシニング
-
チャックエア
-
ワーク吸着部
-
内部エアシール(スピンドル保護)
◎ 食品・飲料ライン
-
エアブロー前(結露による異物巻込み防止)
-
キャップ印字工程
-
洗浄後の水滴除去工程
◎ 樹脂成形
-
金型開閉部のエア駆動
-
ピック&プレースの吸着工程
◎ 製鉄業界(高湿度 × 高温 × ドレン多発環境)
製鉄所は、圧縮空気の配管距離が非常に長く、湿度・熱源・粉塵が混在するため、末端部でのドレン・スケール発生が非常に多い“WELL AIRの典型的な適応現場”です。
-
エアシリンダー系統
→ 熱・スケールが原因の固着防止、動作安定
-
クレーン・搬送設備の制御エア
→ 高所配管での結露再発を抑え、トラブル減少
-
エアブロー工程(冷却・除塵用途)
→ 水滴混入による品質ムラを抑制
-
計測装置・分析機器の供給エア
→ 水滴・油滴混入によるセンサー誤作動を防止
-
設備更新時の“既設配管流用ライン”
→ 古い配管のスケール混入リスクを大幅に低減
■ STEP3:導入後の“効果測定”
導入後のチェック項目は以下の4つに絞ればOKです。
① 毎朝のメンテ時間 → ゼロ化しているか?
チェック方法:
-
朝のトラップ水量(写真が最も説得力あり)
-
水抜き動作の有無
多くの現場で、1日10分 → 0分 という劇的な変化が起きます。
② トラブル発生回数の推移
-
導入前:月3件
-
導入後:0~1件
特にエアシリンダーや電磁弁での変化が大きい傾向があります。
③ フィルター交換頻度がどれだけ減ったか?
-
交換頻度
-
交換コスト
-
フィルターの目詰まり状況(導入後は明らかに汚れ方が変わる)
WELL AIRは“プレフィルタ”として働くため、後段の濾過式フィルター寿命が顕著に延びます。
④ 設備停止・チョコ停の減少
-
「止まらなくなった」は経済効果が大きい
-
特に、末端での結露によるチョコ停が減る
ライン停止の費用は1回数万円~数十万円に及ぶため、
一度のチョコ停削減だけでWELL AIRの費用を回収できるケースも珍しくありません。
■ 効果を“稟議書”で通すための具体例
以下の数字は、実際のユーザー現場を基にした“典型的な改善例”です。
|
項目 |
導入前 |
導入後 |
改善 |
|---|---|---|---|
|
毎朝の水抜き |
10分/日 |
0分 |
月200分削減 |
|
シリンダー不良 |
月3件 |
0件 |
作業時間+交換費削減 |
|
フィルター交換 |
2回/月 |
1回以下 |
部品費50%以上削減 |
|
設備停止(ドレン原因) |
月1~2件 |
ほぼ0 |
生産ロス削減 |
これらを“数字で並べる”ことで、稟議は一気に通りやすくなります。
■ まとめ
WELL AIRを導入する際に大切なのは、
1. 現場の負荷を数値で見える化する
2. 末端に近い最適位置に設置する
3. 導入後は「時間」「頻度」「コスト」の3つで効果測定する
というシンプルな3ステップ。
これを押さえることで、
「なんとなく良い気がする」ではなく、「確実にコスト削減できた」と説明できる導入」
に変わります。
■ 次回予告
次回は、
「油ミストが多い現場で、WELL AIRをどう活かすか?」
というテーマで、
冷凍式ドライヤー・オイルミストフィルターとの組み合わせや、
“メンテナンスレスでできる最適化”を詳しく解説します。
ぜひお楽しみに。
